情熱的な夜を過ごした夫婦がホテルでチェックアウトしようとすると、スタッフが三万円の請求書を出してきた。「どうして三万円なんですか?私たちは二万円の部屋に泊まったはずですけど。」スタッフは答える。「それは部屋代と夕食代が含まれている金額です。」 「でも、私たちは夕食をホテルでいただいていませんけど。」 「お客様のために食事は用意しておりました。それを召し上がらなかったのはお客様の責任です。」 「なぜ一万円だけのお支払いなんですか?」
2026/05/05

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結婚してから初めての連休。
私たち夫婦は、久しぶりにゆっくり過ごそうと高級ホテルへ泊まりに来ていた。
窓の外に沈んでいく夕日を眺めながら、静かな部屋で二人きりの時間を過ごす。
仕事や家事に追われる日常を忘れられるほど、穏やかで贅沢な時間だった。

夜になると、私たちは夕食をどうするか相談した。
本当は外へ食べに行く予定だったが、移動するのも面倒になり、そのままホテル内のレストランへ向かうことにした。
スタッフに勧められたコース料理を注文し、久しぶりにゆっくり会話を楽しみながら食事を終えた。

翌朝。

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カーテンの隙間から差し込む朝日で目を覚ました私たちは、荷物をまとめてフロントへ向かった。
フロントでは、スタッフが笑顔で迎えてくれた。

「おはようございます。本日はチェックアウトですね」

私たちは頷き、部屋の鍵を返した。
するとスタッフが伝票を確認しながら言った。

「お支払いは三万円でございます」

私は思わず顔を上げた。

「三万円ですか? でも予約したのは二万円のプランでしたよね?」

スタッフは表情を崩さないまま答えた。

「はい。そちらは部屋代と夕食代込みの金額でございます」

私は首をかしげる。

「でも私たち、ホテルで夕食は取ってませんけど?」

するとスタッフは静かな声で続けた。

「お客様のお食事は準備しておりました。召し上がらなかったのはお客様のご都合ですので」

私は意味が分からず、隣の夫を見た。

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夫も困惑した表情でスタッフを見返している。

さらにスタッフは淡々と言った。

「食事を無駄にしないため、別途ご請求させていただいております」

私は思わず声を荒げた。

「いや、だから食べてないんですって!」

するとスタッフは伝票を見ながら続けた。

「ですが、お二人は昨日お部屋で遊んでいらっしゃいましたので、その分を差し引いて一万円に調整しております」

私は一瞬固まった。

「は!? ちょっと待ってください! そんなことしてません!」

夫も眉をひそめる。

「どういう意味ですか、それは」

スタッフは最後まで真顔のままだった。

「お二人の楽しい時間を尊重した上での料金調整でございます。ホテルの方針ですので」

夫は深くため息をつくと、財布からカードを取り出した。

「……今回は払います。でも次からは最初に説明してください」

支払いを終えた私たちは、そのままホテルを後にした。

車へ乗り込んだ後も、私はどうしても納得できなかった。

「あれ、本当に正当な請求だったのかな……」

私が呟くと、夫は苦笑しながらハンドルを握った。

「まあ、変なホテルだったな」

結局、最後まで理由は分からなかった。
それでも、二人で顔を見合わせて笑った瞬間だけは、不思議と嫌な気持ちが少し薄れていた。

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