私は幼なじみでもあるママ友のQさんと、もう一人のママ友Pさんの三人で、よく自宅に集まっておしゃべりをしていました。
ところが最近、アクセサリーケースからブレスレットや娘の髪飾りが少しずつなくなっていることに気付きました。
「どこにしまったんだろう?」
そう思う程度で、まさか盗まれているとは夢にも思っていませんでした。
ある日も、いつものように二人が遊びに来ました。
すると娘が突然、大きな声を上げたのです。
「あっ!私のお花!」
娘が指差した先には、Qさんのかごバッグ。
持ち手には、娘が一番お気に入りだった小さなバラの髪飾りが付いていました。
娘が取ろうと手を伸ばした瞬間――
パシッ!!
Qさんは娘の手を叩き、
「人の物を勝手に触っちゃダメでしょ!」
と叱ったのです。
娘は泣きながら私のところへ駆け寄りました。
私は震える声で尋ねました。
「Qさん……それ、うちの娘の髪飾りだよね?返して。」
するとQさんは笑いながら信じられないことを言いました。
「でも全然使ってなかったじゃない?いらないなら、うちの子にもらってあげようと思って。」
さらに、
「前から思ってたけど、この髪飾り、Q子のほうが似合うんだよね。」
私は言葉を失いました。
その時でした。
今まで黙っていたPさんが勢いよく立ち上がり、
「返しなさいよ、この泥棒!!」
と怒鳴ったのです。
「今すぐ盗んだ物を全部出しなさい!警察呼ぶよ!」
Qさんは慌ててバッグの中から、娘の髪飾りだけでなく、私のブレスレット、さらにPさんの小物入れやブローチまで次々と放り投げ、子どもの手を引いて逃げるように帰っていきました。
ところが翌日、Qさんから電話がかかってきました。
開口一番、
「私の味方だよね?Pさんとは縁を切ろうよ。」
私は唖然としました。
「まずPさんに盗んだ物を返して謝って。」
そう言うと、Qさんは笑いながら答えました。
「盗んだって言い方ひどくない?あのお皿なんて付録だったし、トイレットペーパーも安物でしょ?そんな物を持ってきただけで泥棒なんて大げさ。
」
さらに、
「相手が困らない物なら盗んだことにならないよ。」
と本気で言い切ったのです。
その瞬間、私は確信しました。
この人は物を盗んでいるのではありません。
他人の物なら、自分が欲しいと思った時点で"自分の物になる"と、本気で信じているのです。
私はすべての通話を録音し、その日のうちにPさんと一緒に警察へ相談することを決めました。
幼なじみだからと信じ続けた数十年は、その一本の電話で終わりを迎えました。