結婚して三年が過ぎても、私たちには子どもができませんでした。
病院で検査を受けた結果、原因は私にあり、自然妊娠は極めて難しいと告げられました。
診察室を出た私は、夫に何度も謝りました。
「ごめん……離婚してもいいよ。あなたには子どもを持つ権利があるから。」
すると夫は笑いながら首を振りました。
「俺が結婚したのは君だよ。子どもじゃない。」
その言葉に何度救われたか分かりません。
ですが、義両親に本当のことを知られれば、私だけが責められると思った夫は、「二人とも不妊ということにしよう」と提案してくれました。
お正月、私たちは両家へ「夫婦ともに原因があり、子どもは難しい」とだけ伝えました。
私はこれで終わると思っていました。
ところが数日後、私の両親が義実家へ送った感謝の手紙で、すべてが変わります。
「娘は子どもを授かれません。それでも長男さんは『子どものために結婚したわけではない』と言ってくれました。本当に感謝しています。
」
その手紙を読んだ義父は激怒しました。
夫に電話をかけるなり、
「子どもを産めない欠陥女なんか今すぐ捨てろ!お前はまだ若いんだからやり直せ!」
そう怒鳴ったそうです。
夫は静かに答えました。
「父さん、もう一度妻を侮辱したら、俺は二度と実家には帰らない。」
その夜、義母は涙を流しながら私に電話をくれました。
「本当にごめんなさい……。」
さらに義妹たちも義父へ言いました。
「もしお母さんが子どもを産めない体だったら、お父さんも離婚してたの?」
義父は迷うことなく答えたそうです。
「当たり前だ。」
その瞬間、家族全員が黙り込みました。
義母は静かに立ち上がり、
「私が離婚したいのは、お嫁さんのためじゃない。あなたとこれ以上、一緒に生きられないと分かったから。」
そう告げたそうです。
後日、義父は「自分は間違っていない」とネットに相談を書き込みました。
ですが、コメント欄に並んだのは、
「欠陥なのは、お嫁さんではなくあなたの考え方。
」
「息子さんは、本当の家族を守った。」
「孫より先に、自分の家族を失いましたね。」
という言葉ばかりでした。
あの日、失われたのは血のつながりではありません。
人として相手を思いやる心だったのです。