喫茶店に入った私は、静かな店内で一息つきながら注文を取る店員に声をかけた。
「ココア1つお願いします」
しかし、その瞬間、店員は一瞬こちらを見ただけで無言のまま立ち去った。嫌な予感はあったが、忙しいのだろうと自分に言い聞かせて席に座った。
ところが数分後、運ばれてきたのはココアではなかった。
「はい、コーヒー」
目の前に置かれたカップを見て、私は一瞬言葉を失った。
「は?」
思わず声が漏れる。注文とはまったく違う品だったからだ。
しかし店員は悪びれる様子もなく、当然のように言い放った。
「似たようなもんだろ。飲まねーなら帰れ」
その言葉に、店内の空気が一瞬だけ張り詰めた。
私は静かにカップを見つめたあと、ゆっくりと立ち上がる。
「…店長呼んでください」
その一言で、店員の表情がわずかに変わった。
数分後、店長が現れ、状況を確認するとすぐに態度は一変した。問題の店員は奥へと下げられ、私は改めて丁寧に謝罪を受けることになった。
さらに会計は不要となり、代わりに正しいココアが用意された。
カップから立ちのぼる甘い香りを感じながら、私は静かに思った。サービスとは“似ているから良い”ものではなく、“正しく向き合うこと”そのものなのだと。