後輩から「結婚式には車で来て下さい」と連絡が来たとき、私は正直なところ内心でこう思っていた。「送迎代を浮かせたいだけだろう」と。社会人としての付き合いはあるものの、どこか計算された依頼のように感じていたのだ。
そして迎えた結婚式の前日、さらに当日。後輩は特に何も言わず、普段通りの様子で接してきたため、私は余計にその違和感を拭えずにいた。
式当日、会場に到着すると、後輩は静かに私の元へ歩み寄り、小さな封筒を差し出してきた。「はい、これです」とだけ言うその表情には、緊張とも感謝とも取れるものがあった。
私は軽く受け取り、「ん?」とだけ返した。中を開くと、そこには一枚の紙が入っていた。
そこに書かれていたのは、想像していた“費用の話”でも“お願い”でもなかった。むしろその逆で、これまでの関係性を根底から見直すような内容だった。
後輩はただ頭を下げ、「どうしても直接言いたかった」とだけ告げた。その紙に書かれていた真意を知った瞬間、私は自分の浅はかな先入観を恥じることになる。
結婚式という場で渡された一枚の紙は、単なる案内ではなく、彼の誠意そのものだった。