姉が亡くなった。
家族はみんな「かわいそうな人生だった」と言った。
身体の弱い夫と駆け落ち同然で結婚し、入退院を繰り返す夫を支えながら子育てと仕事。
夫を早くに亡くし、今度は自分ががんになった。
治療しながら働き続け、その後、一人息子まで事故で失った。
最後は誰にも看取られず、ひとりで逝った。
私は姉の苦労を知っていたのに、遠いからとほとんど会いに行かなかった。
葬儀の後、遺品を整理していると、大量の手紙が出てきた。
それは姉の夫が、姉に宛てて書いたラブレターだった。
「君が笑うと、僕は生きていてよかったと思う」
「息子と三人で過ごす時間が、僕の宝物です」
そこには、不幸ではなく、確かに愛された姉がいた。
かわいそうだと決めつけていたのは、私たちだけだった。