「若いなら立ってろ」――新幹線で指定席を奪ったおじさんを、私が黙って許さなかった話
2026/05/27

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その日は仕事帰りで、かなり疲れていた。東京までの移動時間くらいはゆっくり座りたくて、少し高いお金を払って指定席を取っていた。だから自分の席に知らない人が座っているのを見た時、一瞬頭が真っ白になった。

「すみません、そこ私の席なんですが」

できるだけ穏やかに声をかけた。するとおじさんは面倒くさそうにこちらを見て、

「自由席いっぱいなんだよ。ちょっと座ってるだけ」

と言った。

でも、“ちょっと”と言うわりに荷物を広げ、まったく動く気配がない。私はもう一度チケットを見せた。すると、おじさんは急に不機嫌そうな顔になり、

「若いんだから立てるだろ」
「年寄りに席譲る気もないのか?」

と吐き捨てた。

その瞬間、周囲の空気がピリッと変わったのが分かった。

正直かなり腹は立った。でも、ここで感情的になったら負けだと思った。私は静かにスマホを取り出し、座席番号とチケットを撮影した。

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「駅員さん呼びますね」

そう言った瞬間、おじさんの表情が変わった。

「いや、そこまでしなくても…」
「すぐ降りるつもりだったし…」

さっきまでの威圧的な態度が、一気にしぼんでいく。

結局、車掌さんが来る前におじさんは席を立った。周囲の乗客も静かにこちらを見ていて、車内にはなんとも言えない空気が流れていた。

私はようやく自分の席に座り、深く息を吐いた。

あの日、改めて思った。

理不尽な人って、“相手が黙る”前提で強気なんだ。
でも、一歩も引かない相手には、意外なくらい弱い。

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