入社3日目、深沢くんは早くも社内伝説になりつつあった。遅刻を注意された直後、冗談めかして「俺を叱ったお前はクビで~すw」と言い放ち、退社し慰謝料1500万円を要求したのだ。会社は冷静に対応し、逆に彼を解雇した。
翌日、500件に及ぶ鬼電が鳴り止まず、状況は混乱した。深沢くんは親戚の立場を盾に取引先に干渉しようとしていたが、扉はすでに閉ざされていた。そこで社長は一計を案じ、彼を土木会社の新人研修に送り込むことにした。
現場では、元問題児たちや屈強な作業員に囲まれ、重い資材を運び朝から晩まで汗と泥にまみれる日々。コネも権力も通用せず、怒鳴られながらも、深沢くんは次第に変化していった。仲間の励ましの声に触れ、自分の力で課題をこなす快感を知り、責任感や協調性も身につけていったのだ。
数週間後、傲慢だった姿は影を潜め、汗だくの作業着で仲間と冗談を交わすようになった。鬼電も止み、現場に溶け込む彼の成長は、社内で語り草となった。
権利や立場に頼らず、自分の力で行動することの大切さを体感した瞬間だった。
今では深沢くんも現場で信頼される存在となり、仲間と共に汗を流す日々を送る。予期せぬ試練は、人を大きく変える力を持つ――この出来事は、そのことを示す好例となった。