
「飛行機で、隣の女が裸足を私の座席ポケットに突っ込んできた。しかも臭い。」
離陸して20分くらい。
機内がやっと落ち着いた頃だった。
隣の外国人女性が靴を脱ぎ、
そのまま足をぐーっと伸ばしてきた。
次の瞬間、
裸足が私の座席ポケットの前まで来た。
……え?
しかも、数秒後に気づく。
匂い。かなり強い。
さすがに我慢できず言った。
「すみません、足ちょっと…私の席の方に来てるんですけど。」
すると彼女は眉をひそめて一言。
「I don't understand.」
――ああ、そういう感じね。
私はそれ以上言わず、
友人にわざと聞こえる声で言った。
「やば…足めっちゃ臭くない?」
友人が苦笑する。
「え、ほんとだ…それヤバい。」
前の席の人が振り向く。
通路側の人もこちらを見る。
でも隣の女性は――
足を引っ込めない。
私はもう一度言った。
「いやこれほんと臭い。」
その瞬間。
隣の女性が突然こちらを見て、
日本語で言った。
「そんなに大げさに言わなくてもいいじゃないですか。」
……は?
さっきまで
“I don't understand.”
って言ってましたよね?
私は思わず言った。
「日本語わかるんですね。」
すると周りの人たちも口を開いた。
「それちょっと迷惑ですよ。」
「靴履いた方がいいと思います。」
一瞬で、機内の視線が集まった。
数秒後――
彼女は無言で足を引っ込め、
靴下を履き、
そのまま靴を履いた。
友人が小さく笑った。
「日本語、わからないんじゃなかったの?」
狭い飛行機の座席でも、
せめて常識くらいは持ち込んでほしい。
聞こえないふりはできても、
周りの視線までは無視できないらしい。