車両デッキで“アンパンマン椅子”を広げて寝ていた女、電車の揺れで全部終わった
2026/05/21

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「車両のデッキに、アンパンマンの子供椅子を堂々と出して寝ている女がいた。」

最初に見た瞬間、
思わず足が止まった。

車両と車両の間のデッキ。

人が必ず通る、
あの狭い通路の真ん中に、
アンパンマンの小さい椅子が置かれていた。

しかもその上に、
女性が座り込んでいる。

ドアにもたれ、
目を閉じていた。

どう見ても寝てる。

私は一瞬、
状況が理解できなかった。

いや、
ここ通路だよな?

周りを見ると、

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他の乗客たちも微妙な顔をしていた。

でも誰も何も言わない。

みんな、
気まずそうに避けて通っている。

私は次の車両へ移動したかった。

だから軽く声をかけた。

「すみません。」

女性、
ゆっくり目を開けた。

そして、
明らかに不機嫌そうな顔で私を見る。

何も言わない。

ただ睨むだけ。

私はもう一度言った。

「通らせてもらっていいですか?」

すると女性、
露骨にため息をついた。

「はぁ……」

そして、
何かぶつぶつ言った。

日本語じゃない。

舌打ちみたいな音も混じってる。

でも、

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椅子も体もほとんど動かない。

背中を少し浮かせただけ。

いや、
それじゃ通れないんだけど。

後ろを見ると、
いつの間にか人が溜まっていた。

スーツの男性。

キャリーケースを持った女性。

年配の夫婦。

みんな困った顔。

でも誰も強く言えない。

変な空気だった。

私は仕方なく、
女性と椅子の隙間を見た。

かなり狭い。

でも跨ぐしかない。

電車は走ってる。

正直怖かった。

私は慎重に足を上げ、
アンパンマン椅子の横を跨いだ。

その瞬間。

後ろからまた、
ぶつぶつ声が聞こえた。

明らかに文句。

でももう無視した。

少しして、

私はまた同じデッキを通ることになった。

すると——

女性、
まだいた。

全く同じ姿勢。

アンパンマン椅子。

ドアにもたれて爆睡。

しかも今度は、
後ろにもっと人が増えてる。

空気、
最悪だった。

誰も注意しない。

でも全員イライラしてる。

そんな時だった。

電車が少し揺れた。

本当に小さい揺れ。

でも次の瞬間。

「ガタン!!」

大きな音。

アンパンマン椅子が横転した。

女性、
ドアにもたれてた体勢が崩れ、
そのまま前へ。

ドサッ。

完全にうつ伏せ。

デッキの真ん中で転んだ。

空気、
一瞬止まった。

誰も声出さない。

ただ沈黙。

その沈黙を破ったのは、
後ろにいた中年男性だった。

中国人っぽい男性。

彼は倒れた女性を見下ろして、
大きな声で中国語を言った。

「ここは寝る場所じゃない!」

思ったより声が響いた。

デッキ中、
全員振り向く。

女性、
真っ赤な顔で起き上がる。

そして男性を睨む。

早口で中国語を返していた。

内容は分からない。

でも完全にキレてた。

ただ——

周りの空気は、
もう完全に変わっていた。

さっきまで黙ってた乗客たちが、
全員その女性を見ている。

静かな圧力。

逃げ場のない空気。

女性、
舌打ちみたいな音を出しながら、
倒れたアンパンマン椅子を乱暴に拾った。

黄色い顔が、
やたら目立っていた。

そして誰とも目を合わせず、
そのまま早足で隣の車両へ消えた。

誰も止めない。

誰も話しかけない。

ただ、
道だけが静かに開いていく。

しばらくしても、
戻ってこなかった。

その時ふと気づいた。

——まだ駅に着いてない。

つまり、
降りる駅でもないのに、

恥ずかしくなって逃げたんだと思う。

デッキには、
何事もなかったみたいに静けさが戻った。

すると後ろの誰かが、
小さく言った。

「最初から、
そこに座らなきゃよかったのにね。」

何人かが小さく笑った。

私はその時、
倒れた瞬間よりも、

“誰も注意できない空気”

の方が、
なんか怖かった。

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