“誰がやったか分からないので対応できません” 観覧イベントで血の付いた椅子に座らされた話
2026/05/21

広告

観覧イベントで席に座っただけだった。

本当に、
ただ座っていただけ。

なのに立ち上がった瞬間、
私は固まった。

白いズボンに、
赤黒いシミ。

「……え?」

最初、
何が起きたか分からなかった。

でも隣の友人が言った。

「待って、私も付いてる…」

嫌な予感がして、
2人で椅子を見た。

その瞬間、
背筋がゾワッとした。

白い座面に、
はっきり血が付いていた。

しかも、

広告

少量じゃない。

誰か気づくだろってレベル。

でも会場は満席。

周囲は普通にイベントを楽しんでる。

誰も気づいてない。

私はすぐ近くのスタッフを呼んだ。

「すみません、
この席、血が付いてるんですけど。」

スタッフは一瞬だけ表情を変えた。

でも次の瞬間、
困ったような顔で言った。

「誰がやったか分からないので、
こちらでは対応できません。」

私は耳を疑った。

「……は?」

いやいや。

“誰がやったか”
の前に、

まず今この状態どうするんだよ。

でも私は、
そこで感情的にならなかった。

怒鳴ったら、

広告


面倒な客扱いされると思ったから。

だから少しだけ間を置いて、
静かに言った。

「このままだと、
感染の可能性ありますよね?」

その瞬間、
スタッフの顔が止まった。

明らかに空気が変わった。

でもスタッフは、
まだ逃げようとした。

「いや、
それは分からないので…」

曖昧。

責任をぼかす話し方。

私は一歩も引かなかった。

「分からない、じゃなくて。」

少し区切って続けた。

「この状態で続けるかどうか、
今判断できますよね?」

その瞬間だった。

近くの客が、

こちらを見るようになった。

「え、血って言った?」

「どこ?」

「マジ?」

ざわざわと空気が広がる。

さっきまで無関心だった人たちが、
一気に椅子を見始めた。

スタッフの顔、
完全に変わった。

「い、一旦確認しますので…」

さっきまでの
“対応できません”
は消えていた。

私は何も言わなかった。

ただ立っていた。

数人の客が席を覗き込む。

「うわ、本当に血じゃん…」

「これ座ってたの?」

「やばくない?」

声が増える。

視線も集まる。

スタッフは奥へ走っていった。

数分後。

今度は年上の責任者っぽい人が出てきた。

そして、

すぐ頭を下げた。

「申し訳ありません。
状況確認しました。」

最初から、
この対応をすればよかったんだ。

責任者はそのまま続けた。

「該当エリアの座席を使用停止にします。」

「対象のお客様には個別対応いたします。」

会場の空気、
完全に変わった。

すぐに座席周辺は囲われ、
私たちは別席へ案内された。

クリーニング対応。

後日連絡。

全部、
さっきまでとは別対応。

最初に対応した若いスタッフは、
後ろで黙ったままだった。

私は別に、

大騒ぎしたかったわけじゃない。

ただ、
“放置して終わらせよう”
とされたのが無理だった。

そして思った。

「誰がやったか分からない」
ことと、

「だから何もしなくていい」
は、

全然別の話なんだって。

広告

AD
記事