近所に少し苦手なママ友がいる。
別に喧嘩をしたことはない。
会えば挨拶もする。
でも時々、
「え?」
と思うことを平然と言う人だ。
その日も突然だった。
買い物帰りに会うなり、
彼女は笑顔で言った。
「中学の体操服で不要なものあったら譲ってもらえない?」
私は一瞬意味が分からなかった。
不要なもの?
うちの子はまだ中学2年生だ。
普通に毎日使っている。
卒業したわけでもない。
ましてや運動部だから洗い替えも必要だ。
私は苦笑いしながら言った。
「まだ使ってるんだよね」
すると彼女は、
「あーそうなんだ」
と軽く流した。
でも私はその後ずっと引っかかっていた。
なぜなら、
その人の生活を知っていたからだ。
年に何度も家族旅行。
行き先は有名温泉地。
SNSには旅館の豪華な夕食。
露天風呂。
ブランドショップ。
子どももいつも新しい服を着ている。
正直、
体操服を買えない家庭には見えない。
中学の体操服なんて、
高級ブランドでも何でもない。
半袖なら千円程度。
ジャージ上下でも数千円。
旅行を一回我慢すれば余裕で買える金額だ。
それなのに、
なぜか他人の中古を欲しがる。
しかもまだ現役で使っている人に聞く。
意味が分からなかった。
もちろん本当に困っているなら話は別だ。
でも、
この人の場合は違う。
必要なものにはお金を使わず、
誰かからもらえればラッキー。
そんな感覚が透けて見える。
私は少し考えた。
ただ断るのも角が立つ。
だから笑顔で言った。
「学校のリサイクル制度に申し込んだら?」
学校には卒業生から集めた制服や体操服を譲る仕組みがある。
必要ならそちらを利用すればいい。
すると彼女は少し残念そうな顔をした。
私はさらに続けた。
「うち運動部だし、むしろ買い足そうかと思ってるくらいなんだ」
これは嘘ではない。
上の子のお下がりも混ざっているから、
実際かなりボロボロだ。
ゼッケンを何度も縫い替えた跡もある。
正直、
人にあげる方が気を遣うレベルだった。
その後も彼女は何人かに声をかけていたらしい。
もしかしたら手当たり次第だったのかもしれない。
でも私は思う。
物を譲ってもらうのは悪いことじゃない。
リサイクルも大事だ。
ただ、
まだ使っている人に当然のように聞くのは違う。
そして何より、
自分の楽しみには惜しみなくお金を使うのに、
子どもに必要な物だけ他人に頼ろうとする。
そこに違和感を覚えてしまった。
結局、
金銭感覚は人それぞれだ。
でもあの日、
私は改めて思った。
「お金がない人」と「お金を使いたくない人」は、まったく別物なんだな。