
電話を切ったあと、正直しばらく動けなかった。
さっきまで「子どもだけなら大丈夫かな」って思ってたのに、
話の中身が完全に違っていたから。
義弟は最初から、
“子どもだけ”なんて一言も言っていなかった。
でも私がそう思い込むように話してきただけだった。
そして実際は——
インフルにかかった奥さんごと、
うちに数日間泊まらせるつもりだった。
臨月の私の家に。
正直、理解が追いつかなかった。
自分にうつるのが嫌だからって、
妊婦に丸ごと押しつけるってどういうこと?
しかも、それを説明せずに、
こっちが気づかないままOKさせようとしてた。
完全に“通せば勝ち”みたいなやり方だった。
その直後、旦那に全部話した。
最初は黙って聞いてたけど、途中から声のトーンが変わった。
「それ、本気で言ってんのか?」
そのまま義弟に電話。
正直、横で聞いてるだけでも分かるくらい空気が違った。
最初、義弟は軽い感じで言い訳してた。
「いや、ちょっと大変でさ」
「助けてもらえればと思って」
でも旦那が一言だけ言った。
「お前、自分が何しようとしてるか分かってるか?」
そこで一気に詰まった。
さらに続けた。
「臨月の妊婦の家に、インフルの人間を泊まらせるってどういうことだよ」
そのあたりから、義弟の声が明らかに弱くなった。
たぶん、自分がやろうとしてたことのヤバさに、
ようやく気づいたんだと思う。
結局、その話はその場で完全に白紙になった。
そのあと、義弟嫁さんから改めて連絡が来た。
「本当にすみませんでした」って、何度も謝られた。
むしろ、あの人が一番まともだったと思う。
自分が具合悪い中でも、
こっちに迷惑かけないように止めようとしてた。
あのまま何も知らずに受け入れてたらと思うと、普通に怖い。
今回のことで一番思ったのは、
“頼み方”って、本当に大事だってこと。
大変なのは分かる。
でも、それを理由にしていいラインと、
絶対に越えちゃいけないラインはある。
今回は完全に後者だった。
しかも、それを誤魔化して通そうとした時点でアウト。
正直、義弟に対する見方はかなり変わった。
一方で、ちゃんと止めてくれた人もいた。
だからこそ、最悪の形にはならなかったんだと思う。
とりあえず一つだけはっきりしてる。
あの時、違和感を無視しなくて本当によかった。