半年前、俺は妻に「離婚だ!」と言って家を飛び出しました。
正直、頭を冷やせば妻も反省して戻ってくると思っていました。
でも現実は違いました。
妻は子どもを連れて家を出て、離婚調停を申し立てたんです。
俺は離婚なんてしたくありません。
子どもも渡したくありません。
どうにかやり直したい一心で何度も連絡しましたが、「怖くて会えない」の一点張り。
自宅の様子が気になって家の近くで待っていたら、「ストーカーです」と警察を呼ばれました。
いや、俺は夫なんだからストーカーじゃないだろ。
そう思っていたんです。
その後、裁判所から半年間の接近禁止命令まで出されました。
そこまでされる理由が、最初は本当に分かりませんでした。
調停でも妻は「離婚と親権」の二つしか求めていません。
俺は弁護士をつけています。
妻は弁護士もつけず一人で来ています。
だから正直、親権くらいは取れるんじゃないかと期待していました。
でも、調停では誰一人として俺の味方をしてくれません。
なぜなのか。
調停員から聞かれて、俺はあの日のことを話しました。
原因はキャバクラでした。
キャバ嬢と遊びに行く約束をしていたメールを妻に見られて、それから夫婦仲が悪くなりました。
ある日、子どもが「今日はお父さんと寝たい」と言ったので、俺の部屋へ連れて行こうとしました。
すると妻が、
「タンスが壊れていて危ないから、今日はやめて。」
と言ってきたんです。
俺は無視しました。
妻はもう一度、
「本当に危ないから!」
と言いながら俺の背中を叩きました。
その瞬間、頭に血が上りました。
妻の腕をつかみ、床へ引き倒しました。
そのまま廊下を引きずり、壁へ叩きつけました。
倒れた妻を何度も床へ押しつけました。
その時、八歳、六歳、三歳の子どもたちが泣きながら飛びついてきました。
「お父さん、やめて!」
「お母さんをいじめないで!」
でも俺は、
「邪魔だ!」
と言って子どもたちを突き飛ばしました。
それでも子どもたちは妻を守ろうとして離れませんでした。
長女が泣きながら言いました。
「お母さんが出ていくなら、私たちも一緒に行く。」
その言葉を聞いて、俺は腹が立ちました。
「じゃあ俺が出ていく!」
そう言い放ち、家を出ました。
俺はその時、本気で思っていました。
数日もすれば妻は謝って戻ってくる、と。
でも妻は戻りませんでした。
生活費として十五万円払う約束をしましたが、途中から弁護士費用が苦しくなり四万円まで減額しました。
家を出る時には家にあった現金も全部持って行きました。
妻は仕事を始め、母親の援助を受けながら子どもたちと暮らし始めました。
俺は「生活が苦しくなれば帰ってくる」と思っていました。
でも帰ってきませんでした。
それどころか、妻の家に男の車が止まっているのを見つけました。
写真も撮りました。
これなら浮気で訴えられる。
そう思って弁護士に相談しました。
しかし返ってきた言葉は、
「仮に交際相手がいたとしても、それだけで親権があなたに移ることはありません。」
でした。
子どもたちは俺に会いたくないと言っているそうです。
親権を取れば、妻も戻ってくるかもしれない。
そんなことまで考えていました。
すると弁護士は静かに言いました。
「奥様は、あなたのもとへ戻りたくないから離婚を求めています。親権は、そのための条件ではありません。」
その瞬間、ようやく分かりました。
俺はずっと「親権を取る方法」ばかり考えていました。
でも妻も子どもも、もっと前に俺から心が離れていたんです。
失うまで、家族がどれほど大切だったのか。
俺は何一つ分かっていませんでした。