ほんとにいた。東京行きの新幹線、全席指定の車両。自分の席に向かうと、そこには知らないおじさんが普通に座っていた。
「自由席が満席だから、ここ座ってるだけ」——一瞬、冗談かと思った。だがチケットを見せても、おじさんはまったく動く気配なし。
「若いなら立ってろよ」——まさかの暴言に、心の中で『は?』と叫ぶ。
周りの乗客も気まずそうにチラ見するだけ。怒りと困惑が入り混じる中、私は一瞬ためらった。しかし、ここで黙って引き下がったら絶対後悔する。
「ここは私の指定席です。今すぐどいてください」——声を少し強めて言うと、おじさんは初めてチラリと私を見る。面倒そうに立ち上がろうとするが、その表情にはまだ不満が漂う。
私は冷静にチケットを提示し、周囲の乗客に理解を得るように微笑む。すると、さすがに周囲の視線に押されて、おじさんは渋々席を譲った。
座った瞬間、心の中で小さくガッツポーズ。
自分の権利を主張する大切さと、何よりも「黙っていてはいけない」ということを改めて実感した瞬間だった。