最終面接で「施設育ちだから」と履歴書を破られた…身元保証人を呼べと言われて電話したら、その場の空気が一瞬で変わった
2026/04/21

広告

姉が一歩、部屋の中に入った瞬間だった。

さっきまで腕を組んでいた面接官が、反射的に立ち上がった。

「……なぜあなたがここに」

さっきまでの余裕は、もうなかった。

姉は名刺を出すこともなく、静かに言った。

「私が身元保証人です」

その一言だけで十分だった。

でも、姉はそこで止まらなかった。

ゆっくりと机の上を見た。

破られた履歴書の切れ端。

それを見て、視線だけで状況を理解した。

そして、面接官に向き直った。

「履歴書を破るのが、御社の採用基準ですか?」

空気が一瞬で張り詰めた。

面接官は何か言おうとしたが、言葉が出てこない。

人事担当が横で青ざめているのが見えた。

姉は続けた。

「“施設育ちだから信用できない”とおっしゃったそうですね」

静かな声だった。

でも、その場にいた全員が聞き逃せない言い方だった。

面接官の顔色がさらに変わる。

「い、いや、それは……」

さっきまでの態度とは別人だった。

私はその様子を見ながら、初めて息を吐いた。

広告

怒鳴ることもできた。

言い返すこともできた。

でも、その必要はなかった。

状況がすでに変わっていた。

姉は一歩だけ前に出て、淡々と言った。

「私の会社は御社と取引があります」

その一言で、面接官の視線が揺れた。

「人を属性で判断し、履歴書を破るような企業と、今後も関係を続けるべきかどうか」

そこで言葉を止めた。

続きを言わなくても、意味は十分に伝わった。

沈黙が落ちた。

誰も何も言えなかった。

私は机の上の履歴書の切れ端を拾った。

さっきまで感じていた悔しさは、もうなかった。

代わりに、妙に冷静だった。

私は軽く頭を下げた。

「本日はありがとうございました」

面接官は何も返せなかった。

ただ、黙って立っているだけだった。

私はそのまま部屋を出た。

廊下に出た瞬間、やっと空気が変わった気がした。

さっきまで自分がいた場所が、まるで別の空間みたいだった。

姉が横で一言だけ言った。

「もういいでしょ」

私は頷いた。

正直、あの場で何かを勝ち取ったわけじゃない。

広告

内定もないし、結果もない。

でも一つだけはっきりしたことがある。

あの会社に選ばれなくてよかった。

選ぶ側にいるつもりだった人間が、
何を基準に人を見ているのか。

それを知れただけで十分だった。

そして——

履歴書を破ったのはあの人だけど、

あの場で信用を失ったのは、間違いなくあの会社の方だった。

広告

AD
記事