地下鉄で空席を見つけた時、腰の痛みが限界だった。
私は大学生らしき二人組に、できるだけ丁寧に聞いた。
「すみません、座ってもいいですか?」
すると一人がニヤニヤしながら言った。
「しゃべってるの見てわからない?」
もう一人も笑って、
「じゃあダメw」
周囲は見て見ぬふり。
若く見えるから大丈夫だろう、言い返せないだろうと完全に舐めていた。
立っているだけで冷や汗が出てきた、その時。
隣にいたコワモテのお兄さんが、ゆっくり立ち上がった。
「この人、座ってもいいですかって聞いてるだけだろ。席はお前らの私物か?」
車内の空気が一瞬で固まった。
大学生二人は顔を赤くし、無言で荷物をどけた。
お兄さんは私に席を譲り、小さく言った。
「大丈夫っすか」
見た目で人を決めつけていたのは、あの二人の方だった。