「もうこの家には来ません。孫に会えるのも今日が最後。次に会うのはお葬式でしょうね。」
長男の嫁・彩佳はそう言い放ち、赤ん坊を胸に抱いて家を出ていった。
その二年前、私は夫と二人で静かに暮らしていた。長男の初めが結婚相手として連れてきたのが彩佳だった。派手で自己中心的な女性で、結婚式費用三百万円まで私たちに出させた。
やがて彼女は妊娠し、「実家は田舎だから嫌」と言って我が家に来た。出産まで世話をし、さらに産後も赤ん坊の夜泣きの世話まで私に押しつけ、自分は美容のために寝たいと言う始末だった。
一ヶ月後、ようやく帰ることになったが、「もうこの家には来ない」と言い残して去っていった。
それからしばらくして、次男のA太が結婚すると報告してきた。相手は高校時代の同級生・り子。母を亡くし頼れる人がいないという。私たちは同居を受け入れた。
り子は彩佳とは正反対で、料理を覚えたいと私に頼み、家の手伝いも進んでしてくれた。
やがて女の子のひまりが生まれ、穏やかな日々が続いた。
そんなある日、突然彩佳が怒鳴り込んできた。
「次男の嫁ばかり可愛がってずるい!」
理由は、り子がSNSに投稿している家族の動画が人気で、自分の投稿は批判ばかりだったからだという。
夫が厳しく叱ると、彩佳は泣き崩れた。そこへ長男の初めが息子を抱えて現れ、彼女を連れて帰っていった。その後、彩佳は子育てに疲れ実家へ戻ったと聞いた。
数年後、ひまりの運動会の日。
「おばあちゃん、見に来てね!」
元気に走る孫の姿を見ながら、私は思った。
かつては孫と楽しく過ごせる日が来るとは想像もできなかった。
今は優しい嫁と可愛い孫に囲まれ、心から幸せだと感じている。