【娘家族】年末年始に帰省してくる娘と孫「おせち料理なんて非効率。ピザにしてよ」
2026/05/13

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私は七十二歳、みさこ。夫を亡くして一人で暮らす静かな生活が、年末年始だけは一変する。都内から娘・真由美が小学生の孫二人を連れてやってくるのだ。ライン一通で心拍数が跳ね上がる。楽しみでもあり、地獄でもある数日間の始まりだ。

スーパーで八万円分の食材を揃え、腰をかばいながら布団を敷き、膝と背中に痛みを抱えて神社へ向かう。孫たちは元気いっぱい、娘はスマホ片手に無神経。私の努力も、愛情も、まるで無視される。

そして元日の朝、待ちに待ったおせち料理を食卓に並べると――孫たちは顔をしかめ、娘は鼻で笑い、ピザを要求した。「無添加、手作りなんて時代遅れ」その言葉が胸に突き刺さる。長年積み上げた時間と金銭、体力の全てが、目の前で軽視される瞬間だった。

だが私は冷静だった。散らかった食卓の中、私は残った一つの大切なカップを取り出し、丁寧に箱にしまった。そして静かに宣言する。「今からは私のために生きる」――スマホをブロックし、玄関の鍵を二重にかける。

部屋に広がる静寂の中、私は最高の贅沢を手に入れた。自分の時間、自分の体、自分の人生――誰にも邪魔されない自由。破れたおせちも割れたカップも、すべては私の覚醒の象徴だった。七十二年かけてようやく、自分の人生が始まったのだ。

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