「…どこまで見えちゃいました?」
翌朝、玄関前で楓にそう聞かれ、俺は思わず正直に答えた。「ピンクの…」
一瞬、楓の頬が赤く染まり、慌てて手荷物で隠す。俺はドキドキしながらも、彼女の気まずそうな姿に、どこかほっとした気持ちになった。
前日の夜、猫の世話をしていたついでに、ふと目に入ってしまったのだ。彼女はヨレヨレのTシャツにメガネ姿、普段のおしゃれな印象とは全く違う無防備な姿で…恥ずかしいけど、思わず目をそらせなかった。
「ごめんなさい…心配で外にいただけなんです」
楓はそう言いながらも少し照れていて、俺は彼女の誠実さと可愛らしさに心を打たれる。
俺は軽く笑いながら、「いや、ちょうど目の前にいただけだし」と返すと、楓は少し安心したように笑った。
その後、俺たちは自然な流れで近くの喫茶店へ。
彼女は食事を頼みながら、自分の悩みや夢を話してくれた。法学部で弁護士を目指していること、家族の期待と自分の夢の間で迷っていること。俺は何気なく提案する。「結婚相手と一緒に将来のプランを考えたらどう?」
楓は目を輝かせて、「なるほど、ありがとう!」と笑顔を見せた。その笑顔に、俺は自然と胸が熱くなった。
あの一瞬の“丸見え事件”が、俺たちの距離を縮めるきっかけになったのかもしれない。
彼女と過ごす時間の中で、俺は改めて、信頼と誠実さがどれだけ人を近づけるかを実感するのだった。