夫婦のベッドで、見慣れない「ある毛」を見つけた。
嫁のものではない。
俺のものでもない。
一瞬で頭に浮かんだのは、最悪の想像だった。
怪しいと思った俺は、総額12万円かけて家中に監視カメラを設置した。
そして確認開始から、わずか5分。
映像に映ったのは、見知らぬ男ではなかった。
寝室のドアを器用に開け、ベッドに飛び乗る一匹の猫。
しかもその後ろから、嫁がこっそり餌を持って入ってきた。
「ごめん、捨て猫だったの。あなた猫アレルギーだから言えなくて…」
疑っていた俺は、言葉を失った。
浮気の証拠だと思った毛は、助けを求めていた小さな命のものだった。
12万円の監視カメラで分かったのは、嫁の裏切りではなく、俺の器の小ささだった。