金曜の夜。
同僚と歌舞伎町の居酒屋に入った。
私
「今週やっと終わったな~」
同僚
「とりあえず乾杯しよう」
枝豆。
焼き鳥。
唐揚げ。
ビールを数杯。
一時間ほど雑談して店を出ることにした。
すると――
私
「え?」
伝票を見た瞬間、固まった。
同僚
「どうした?」
私
「ちょっと見てこれ」
合計金額。
10,000円超。
同僚
「は?」
私
「頼んだ量と全然合わなくない?」
伝票には見覚えのない項目が並んでいた。
個室チャージ料。
サービス料。
季節特別維持費。
私
「こんなの頼んでないんですけど」
店員
「はい?」
私
「この維持費って何ですか?」
店員は伝票を見たあと平然と言った。
店員
「ウチはそういうシステムなんで」
私
「メニューに書いてありました?」
店員
「いや、でも皆さん払ってますよ」
私
「説明も受けてませんけど」
その瞬間だった。
店員の顔から笑顔が消えた。
店員
「ウチはこれでやってんだよ」
私
「いや、納得できません」
店員
「炭にも別途料金かかってるから」
私
「炭代?」
同僚
「焼き鳥数本で?」
店員
「文句あるなら二度と来なくていいよ」
空気が一気に重くなった。
私はスマホを取り出した。
私
「じゃあ写真撮りますね」
店員
「は?」
私
「伝票と店内表示を記録します」
店員
「ちょっと待てよ」
私
「あと消費生活センターにも相談します」
店員の顔色が変わった。
店員
「大げさだな」
私
「説明のない請求ですよね?」
すると店員は急に低い声で言った。
店員
「家族とかいるんだろ?」
私
「……何ですか?」
店員
「面倒なことになるぞ」
同僚
「おい、それ脅しだろ」
私
「今の発言も録音しました」
店員
「……」
私
「警察にも相談します」
しばらく沈黙が続いた。
数分後。
奥から責任者らしき男性が出てきた。
責任者
「申し訳ございません」
私
「この請求の説明をお願いします」
責任者は伝票を見て固まった。
責任者
「こちらの料金は取り消します」
私
「最初からそうしてください」
後日。
私は写真と録音データを持って警察と消費生活センターへ相談した。
結果、不当請求は正式に撤回された。
帰り道。
同僚が苦笑いしながら言った。
同僚
「焼き鳥と唐揚げ食べに来ただけだったのにな」
私
「まさかこんな戦いになるとは思わなかったよ」
今でもあの伝票を見るたびに思う。
理不尽な請求より怖いのは、
何も言わずに払ってしまうことなのかもしれない。