「ババア、もう帰れよ」正月に実の息子から追い出された私が、老後資金を解約して始めた第二の人生
2026/06/10

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正月の朝、私は息子の家の台所に立っていた。

夫を亡くして十ヶ月。

ひとりの家はあまりにも寒く、寂しかった。

だから私は、せめて正月だけでも家族と過ごしたかった。

孫たちのためにお年玉を用意し、朝早くからお雑煮を作った。

けれど嫁は、私の顔を見るなり不機嫌そうに言った。

「お義母さん、朝からバタバタされると落ち着かないんですけど」

私は笑ってごまかした。

やがて孫たちが起きてきた。

「おばあちゃん!」

その声だけが救いだった。

私は一人ずつポチ袋を渡した。

「はい、お年玉よ」

孫たちは嬉しそうに受け取った。

その瞬間、嫁の顔が歪んだ。

「そんな小銭で偉そうにしないでください。子供たちの教育に悪いわ」

私は言葉を失った。

助けを求めるように息子を見た。

けれど息子は嫁の隣に立ち、私を冷たい目で見下ろした。

「ババア、もう帰れよ。正月早々、雰囲気ぶち壊すな」

胸の奥で、何かが音を立てて崩れた。

私は泣かなかった。

ただ静かに立ち上がり、コートを羽織った。

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その時、孫の勇斗が小さく私の袖をつかんだ。

「おばあちゃん、お年玉ありがとう……」

その一言だけで、私は救われた気がした。

けれど息子は勇斗を引き離した。

「子供に変なこと吹き込むな!」

私は玄関で振り返り、静かに言った。

「喜んで帰ります」

外は雪だった。

冷たい道を一人で歩きながら、私は心の中でつぶやいた。

「もう十分よ」

その夜、家に戻った私は暗い部屋で一人こたつに入っていた。

すると突然、玄関のチャイムが鳴った。

戸を開けると、そこには雪まみれの勇斗が立っていた。

「おばあちゃん、ごめんね。僕、おばあちゃんが心配で……」

私は泣きながら勇斗を抱きしめた。

その直後、息子から電話が鳴った。

『勝手に子供を連れ去るな!誘拐だぞ!二度と俺たちの前に現れるな!』

私は静かに答えた。

「そうね。もう二度と関わらないわ」

翌朝、勇斗を駅まで送り届けたあと、私は銀行へ向かった。

そして、息子夫婦のために残していた老後資金の口座を解約した。

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このお金は、もうあの子たちのものではない。

私自身の人生のために使う。

春になり、私は小さな店を開いた。

手作りのおにぎりと漬物だけを出す小さなカフェ。

看板にはこう書いた。

「おばあちゃんの店」

最初のお客さんは、近所の小学生たちだった。

「おばあちゃん、このおにぎりめっちゃ美味しい!」

その言葉を聞いて、私は久しぶりに声を出して笑った。

夜、店の明かりを消し、満月を見上げた。

私は心の中で息子夫婦に言った。

「ありがとう。あの日、私を追い出してくれたおかげで、私はやっと自由になれたわ」

家族に捨てられたと思った正月。

でも本当は、私が古い鎖から解放された日だった。

これからは誰かのためだけではなく、私自身のために生きていく。

そう思えた時、凍りついていた私の人生に、ようやく春が来たのだった。

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