孫のこうと嫁の柚ずさんが元気に帰宅したその日、私は幸せな笑顔を胸に見送った。「次はバァバのお誕生日に来るね」と約束して――しかし、その帰り道、事故で二人は帰らぬ人となった。突然の悲劇に私は絶望し、大輔も心を閉ざしてしまう。生きる希望を失ったまま、日々が過ぎていった。
あれから1年、こうの誕生日を迎えることになり、私はふと思い立ち、よく行っていたファミレスへ向かった。好きなハンバーグを注文し、一人で食事を取っていると、入口に見覚えのある二人が現れる。こうと柚ずさんだ。しかし二人のそばには見知らぬ男性が――。私は息を潜め、しばらく様子を伺った。
トイレにこうが一人で向かった瞬間、私はそっと駆け寄り、耳元で囁いた。「生きてたのね、こう…」小さな声に、こうの顔がぱっと明るくなる。事情を知ることとなった私は、事故の裏に隠された驚くべき真実を少しずつ理解していく。嫁は夫から逃れ、子を守るために別人として生き延びていたのだ。
絶望の中で過ごした日々の先に、孫と嫁の笑顔が再び現れた瞬間、私は静かに涙をこぼした。過去の悲しみも、混乱も、すべてこの再会に意味を与える。こうの笑顔と安心した姿が、私にとって何よりの救いとなったのだった。