あの日のことを、私は今でも忘れられない。
中学生の娘の妊娠が発覚した翌朝、警察から電話が入った。
「今すぐ来てください」
嫌な予感がした私は、急いで警察署へ向かった。
到着すると、捜査官が重い表情で口を開いた。
「覚悟してください。娘さんとご主人が線路へ飛び込みました」
私は言葉を失った。
さらに、
「娘さんに命の別状はありません。ご主人は重傷です」
と説明された。
私は震える手で顔を覆った。なぜ夫と娘がそんなことをしたのか、全く分からなかった。
病院で再会した娘は、うつむいたまま何も話さない。夫も私から目を逸らし、沈黙を続けていた。
私は耐えきれず、自分で調べ始めた。娘の友人や学校関係者、夫の周囲にも話を聞いた。
そして真実を知った。
娘は交際していた男子生徒との間に子どもを授かっていた。だが問題はその後だった。
夫は娘を責め続け、一度も娘の気持ちに寄り添わなかったのだ。
娘は家の中で孤立し、深く傷ついていた。追い詰められた末、あの日の出来事が起きたのだった。
私は夫への怒りでいっぱいになった。復讐してやりたいとすら思った。
だが、考え続けるうちに気づいた。
娘が本当に求めていたのは、怒りではなく愛情と理解だったのだ。
私は復讐をやめた。
そして娘に寄り添い続けることを決めた。壊れた家族を、もう一度やり直すために。