バスの車内で、小学生数人が降車ボタンを連打していた。
「次、降りるの?」と運転手さんが停めるたび、子どもたちは笑いながら言う。
「やっぱ降りませーん(笑)」
最初は車内も苦笑いだった。
でも何度も停まるうちに、急いでいる乗客の顔が曇り、高齢者まで揺れに耐えていた。
すると運転手さんは、次の停留所でバスを止め、静かにマイクを握った。
「降車ボタンは、遊び道具ではありません。押されれば、安全確認のため必ず停まります。その一回で、誰かの病院の時間、仕事の時間、約束の時間が遅れます」
怒鳴らない声だった。
でも車内は一瞬で静まり返った。
子どもたちは顔を真っ赤にして、次の停留所で小さく頭を下げた。
その対応に、乗客から自然と拍手が起きた。