気温はマイナス10度。
誰もいない夜の駐車場で、違法駐車が何日も続いていた。
腹が立った俺は、勢いのまま水をかけた。
「これで動かせなくなるだろう」と、どこかで軽く考えていた。
翌朝。
外から聞こえる異様なざわめきで目が覚めた。
「ちょっとこれ…どうなってるの?」
「完全に凍ってるじゃん…!」
カーテンの隙間から外を見ると、駐車場に人だかりができていた。
俺の車の周りに、管理会社の職員らしき人、警察、そして近隣住民まで集まっている。
嫌な予感が一気に現実になる。
(ヤバイ…)
慌てて外に出ると、視線が一斉にこちらに向いた。
管理会社の人が静かに言った。
「この水、あなたがかけましたよね?」
言い逃れはできなかった。
凍りついた車体は、ドアもワイパーも完全に固まり、通常の使用が不可能な状態になっていた。
その場で事情は記録され、所有者にも連絡が入った。
結果、違法駐車の問題とは別に、損害の責任は完全に切り分けられた。
「正当化はできませんね」
警察ではそう淡々と告げられた。
違法駐車に対する苛立ちと、感情のままの行動。
その代償は、思っていたよりずっと重かった。